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ザ・病気

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンと子宮頸がん

HPVというウイルスは性交渉により多くのヒトに感染しますが、そのうち一部のヒトが数年~数十年かけて前がん状態を経て子宮頸がんを発症します。ピロリ菌の胃がん、B型肝炎ウイルスの肝臓がんと同様、感染症の予防や対策で予防できるがんなのです。

子宮頸がんは近年増加し続けており、日本国内で年間約1万人の女性が発症し、3000人弱が死亡しています。しかも20代から40代の若い女性、妊娠、出産、子育て中の女性に増えているのです。

WHOや世界各国では、特に初回性交渉前の年齢層に接種することがより有効であると、積極的に推奨されています。国内でも産婦人科学会、小児科学会などの専門家学会が、大規模な研究や副反応のついての詳細な追跡調査の結果、副反応よりもワクチンによる効果の方がはるかに有益であり、ワクチンが必要であると声を大きくした結果、この度の積極的勧奨が再開されることとなりました。詳細は厚生労働省のHPにHPVワクチンに関するリーフレットが掲載されています。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

ワクチンは現在、2価・4価・9価の3種類がありますが、9価のワクチンは定期接種ではなく、任意接種です。当院では4価のガーダシルを採用しています。原則、1回目から2か月後に2回目、6か月後に3回目の接種をします。このワクチンの副反応として接種直後に血管迷走神経反射のために失神することがあるので、接種後の移動の際には誰かが寄り添い、30分間は院内で安静にしていただきます。少なくとも高校生までは、保護者が同伴してください

すでに1回だけ、または2回受けたことがある方も、残りの回数が受けられますので、ご相談ください。その場合は前回と同じ種類のワクチンになります。

 なお、このワクチンですべてのHPV 感染を予防できるわけではありませんので、20歳を過ぎたら、2年に一回はがん検診も受けましょう。